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ガロンボトルビジネス 2009

世界経済危機の影響が、ゆっくり且つ予想通りに地方や末端に波及を続けた年でした。大型の財政出動のお陰で、企業の倒産数はずいぶん押さえられているはずですが、その効果だけでどうにか持ちこたえているところも多いので、今年の年末年始は心配です。明るいニュースとしては、新政権が税金の使い道を改め、今までより遙かに弱者向けの政策を発動してくれるだろうという点です。具体的な「雇用」創出プランにも期待します。
とは言え、経済界は財政出動と中国頼みから抜け出ようとしていませんから、「雇用」の抜本的な解決の見通しは立ちようがありません。経済界が自らの思い込みを排して、「雇用第一主義」に立ち返らないと日本に未来はありませんが、そこにどれほど政治主導が斬り込めるか?が鍵となるでしょう。その一点だけ注視していれば、日本の将来は見えてしまうことになると、私は考えています。

ガロンボトルビジネスに関しても、今年に入ってからは不況の影響が押し寄せてきました。企業が経費の削減を迫られ、ガロンボトルのミネラルウォーターはその矢面に立たされました。それが、企業を顧客に持つ中規模メーカー同士の「ちいさなパイ」の争奪戦に火を付けました。たくさんの営業員を抱え、宣伝広告費にも大枚を叩く水企業にとって、パイの縮小は死活問題となるため必死です。そこで、弊社のような運送会社で配達を組んでいる会社は、「いい標的」とされてしまいました。直接配達していれば、他社の動きも察知できるのでしょうが、いきなり「解約」を連絡され「経費削減のため全社的に納入先を替えた」という事後報告を受けると、為す術がありません。コツコツと積み上げてきたお客様を取られてしまうのは、手足をもぎ取られる思いです。しかし、それもこれも「パイが小さいまま縮小していく」限りにおいては、「どうしようもない」ことです。パイの縮小は、企業の業務縮小や倒産に伴い進行の度合いを深めました。

弊社は、上記の問題の対応策としても地産地消を押し進めてきた訳ですが、地元での営業を上回る勢いで解約が進行してしまいました。とは言え、弊社にとっては「群馬で成り立つ」水ビジネスを極めるしか「パイの拡大を果たす方策はない」のも事実です。そこで、社内的なワークシェアで時間を稼ぎつつ、様々な策を繰り出すこととなりました。

一方で、(株)北栄が倒産しました。前社長の早期の引退という決断により、戸田工業に身売りをした北栄は、3年を持たずに倒産の憂き目に遭いました。全く畑違いの企業が、何らの知識も持たないまま事業を行うことが如何に至難なことか、それが如実に出てしまった例といえるでしょう。特に、身売りと時を同じくしてサーバーの販売が絶好調に推移したことが、結果的には裏目と出たわけですから皮肉です。北栄は長い間オアシス社のビルの据付型冷水機で上げた利益を、ウォーターサーバーに注ぎ込んできました。それだけ、サーバーの販売は低調でしたが、それでも北栄はメンテナンス設備を整え、まっとうなビジネスを展開してきました。その甲斐あって、ちょうどその花が、身売りと前後して開いたのです。しかし、その事情を知らない新経営陣は、どんどん気に入らない社員を辞めさせていきました。一方で、サーバーの販売が好調だったために気が大きくなって、ボトル工場の建設や新たなサーバーを中国で作るといった挙に出てしまったのです。いくらサーバーがコンテナごと飛ぶように売れても、ボトルなど売ったことのない会社が、ボトル工場を造ってしまうようなことをすれば、誰でも予想できる顛末を迎えることとなります。

お陰で、サーバーメンテナンスを北栄に頼ってきた弊社は、自分たちでサーバーメンテナンスを行うこととなりました。しかし、今では「それでよかった」と思っています。今まで人に任せてきたことの内容が、期せずして見えてしまったことで、実に多くのことを学ぶこととなったからです。
まず「サーバーのメンテナンスにかかる経費の高さ」と「その実効性の低さ」を、その対比を含め、実感しました。「単にお湯と冷水が出せるだけの機械なら、なんで利用者がお手入れをできる作りにしないのか?」それは以前からの疑問だったのですが、毎年のメンテナンスにかかる金額とその実態を知ると、改めてその「馬鹿さ加減」が浮き彫りになります。「そうなら、そのメンテナンス料金をメンテナンスフリーの機械を作ることに振り向けるべきだ」という思いは、揺るがない確信となりました。出張メンテナンスで3,500円、交換メンテナンスでは実質6,000円見当が経費として必要です。それをサーバーの寿命を5年として計算すると、17,500円から30,000円の経費がかかってしまうのです。それを水メーカーが負担するにせよ、お客様が負担するにせよ、そんな電気製品など「他にない」訳で、それでは家電とは呼べません。

北栄が倒産したことで、今までの機材の新たな入手もできないこととなりました。しかし、それもまた「よかった」と思うに至っています。将来の展望を持てない機材を扱い続けることは、「餅屋は餅屋」という関係性の中では納得できますが、自分たちが直接扱うことになれば話は別です。そこで、「自分たちが納得する機材を選定し、それを普及型と位置づけ、国産サーバーへの誘導路を築きたい」という思いを実行に移すこととしました。
サーバーが売れる時節が到来したということは、それだけガロンボトルの「水」が浸透してきたことの現れです。その時点で、信頼できるサーバー輸入会社を失った訳ですから、影響は小さくありません。まだまだ発展途上の韓国や中国のサーバーは、駐在員が製造ラインに張り付くようにして、ライン管理をするようでなければ使い物になりません。それだけのことをする会社は、北栄をおいて他になかったのですから、その撤退は痛手です。ただ、別な観点から見れば、北栄に頼る限り北栄を通したサーバーしか入手できなかった訳ですから、自由な発想でサーバーを見直すには良いチャンスだと言えます。これを機に、メンテナンスフリーのサーバーや国産サーバーを俎上に上げる機運が作っていきたいと考えています。
とは言え、国産サーバー誕生までには、いくつものハードルが立ちはだかっています。その間は、現実的な選択として、北栄が扱っていた程度のサーバーが必要で、部品の供給やメンテナンス方法の開示・故障時の対応等のバックアップ体制も不可欠です。それらを(株)オルビスと連携しながら構築していく所存です。

弊社が普及型として取り組むサーバーの駆体のメインはステンレスです。とてもしっかりした作りで高級感があります。中国製ですが、随所に最新のテクノロジーを取り入れています。
特徴としては、冷水タンク内のバッフル(隔壁)を始め、蛇口までの配管は全てステンレス製です。サーバーの電気的な生命線であるコンプレッサーとサーモスタットは、(株)オルビスが指定する定評のある製品を載せ替えます。温水・冷水共にスイッチが付いていますので、そのON・OFFによって、冷温水機にも、冷・常温水機にも、温・常温水機にも、常温水機にもなりますから、20年以上前のアメリカ製サーバーのラインナップを1台に凝縮したようなものになっています。その使い分けには丁寧な取説が必要ですが、不要な電気代をかけない省エネ運転ができるサーバーになっています。
このサーバーメーカーにはオアシス社の駐在員が常駐して製品をアメリカに輸出し、「オアシスブランド」として販売しています。その経緯もあって、この会社の製品は日進月歩で改良が進められています。電気的にも細部の作りについても、オアシス社が細かな点での指摘を重ね、それが製品に活かされています。デザイン性・清潔感・高級感はピカ一で、特に女性の評価は高く、非常にコストパフォーマンスの高い商品です。

普及型と言っても、多くの方にお使いいただかない限り普及はしません。一方、ガロンボトルのミネラルウォーター製造会社や販売会社が、共通のサーバーを使用することになれば、多くの利点が生じます。

1.コンテナ単位でサーバーを購入しなくとも、リーズナブルな価格で購入することができます。サーバーを安くレンタルするためには、安く入手しなければならないため、コンテナ単位で購入する企業は少なくありません。しかし、初期投資にお金をかけ、在庫置き場を確保し、いずれはメンテナンスにも経費をかけねばなりません。それらの投資や経費を回収する算段が、全ての企業にできているのかは甚だ疑問と言わざるを得ません。弊社では、WINIX804H価格を基準にして、ステンレス製でありながら卸価格を2万円以下にすることを目指します。コンテナ単位の場合は、当然それ以下の価格になりますが、1台からでも安く販売できるか否かは、結局コンテナで輸入する程度に商品が普及するか否かにかかります。

2.部品供給やサーバーのメンテナンス情報などを、一元化することができます。

3.改善点の指摘と実際の改善を連動させることができます。

社会情勢の変化に伴い、今後ガロンボトルのミネラルウォーター及びサーバーは家庭を中心とした需要に移行していきます。ただ、それを加速させるためには、サーバーを扱う側が「家庭用サーバー」という新たな概念を持ち、その開発と普及に取り組んでいくことが不可欠です。また、ミネラルウォーターの価格についても、家庭でお使いいただくことを前提としたものに収めていく企業努力が必要です。ただ、今までのようにサーバーに予想以上の経費がかかる状況の中では、ミネラルウォーターの価格まで抑えることはできないのというのが実状です。
飽きのこないデザインで、高級感を併せ持つサーバーを多くの企業に扱っていただく意味は、そこにあります。サーバーが水道の蛇口のように各家庭に備えられるようになれば、ガロンボトルのミネラルウォーターの需要は膨大なものとなります。ミネラルウォーターの価格の大半は配送経費ですから、狭い範囲で配送が組めるようになれば、価格は相当に抑えても利益が出ることとなります。と言うよりも、価格を押さえ込むことで、より密度の高い顧客の獲得ができるという巡りができます。
その巡りに到達する近道が、供給側に課せられているサーバーに関わる負担の軽減です。「顧客に負担を生じさせないようにしてサーバーの普及を図る」それが、今まで供給側が取ってきた方策です。しかし、それが如何に供給側の体力を消耗させているか?という点に私たちは留意しなければならないのです。

弊社は、北栄の倒産を機に、ガロンボトルビジネスのキーポイントであるサーバーに積極的に関わり、供給側のアキレス腱の補強に乗り出す決意を固めました。そして、その決意を明確にするために、今年のガロンボトルビジネス最前線の記述は、敢えてサーバーだけに留めることとしました。

「普及型のサーバー」と語気を強めて叫んでも、多くの皆さんにお使いいただけない限り、「絵に描いた餅」にしかなりません。多くの協同者の理解を得て、ガロンボトルビジネスがはまりこんでしまっている
堂々巡りの環から抜け出す!来る年をそんな年にしたいと念じています。是非、皆さんの力をお貸し下さい。





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